こんにちは。しばらく寒い日が続いていたましたが、桜も満開になりようやく春本番という感じになりましたね。
 毎日バタバタしているうちに、今年もあっという間に4月を迎えてしまいました。3月はアロマテラピーのイベントがあり、今年はハイドロゾル(芳香蒸留水)を中心に出展しました。ハイドロゾル(芳香蒸留水)は日本ではあまりメジャーではありませんが、海外ではハイドロゾルセラピーというのが知られています。文字通りハイドロゾルを使ったセラピー(療法)ですが、今回はこのハイドロゾルを紹介したいと思います。

 ハイドロゾルは芳香蒸留水とかフローラルウォーターとも呼ばれ、アロマテラピーで使用する精油を水蒸気蒸留法で抽出するときに、一緒に得られる水溶性の芳香物質です。微量の精油成分も溶け込んでいますが、脂溶性の層(精油の層)には溶け込まない水溶性の植物成分がメインに含まれています。植物の種類にもよりますが、香りは精油よりもマイルドでハーブティよりはきつくて少し青臭いものがほとんどです。

 

 ハイドロゾルは精油に比べて値段が安いのがメリットのひとつです。
例えばローズオットーの精油は1mlで1万円近くしますが ハイドロゾルは100mlで2000円~3000円くらいで購入できます。
化粧水やクリームなど高価な精油(ローズ、ネロリ、メリッサなど)の効能が欲しいとき、私はよくハイドロゾルを利用します。たっぷり使えますからね。
 ハイドロゾルをそのまま化粧水代わりに使用できることもメリットのひとつです。精油は必ず希釈しなければいけませんが、ハイドロゾルは薄めずそのまま使用できるのです。老化肌、乾燥肌にはローズやフランキンセンス、新陳代謝の鈍いお肌にはネロリ、敏感肌にはメリッサやカモミール、日焼け後やにきび肌にはラベンダー、脂性肌や男性にはローズマリー、お肌全体の強壮・調整にはエキナセア・・・と、肌質、気候・環境に合わせて使い分けるといいでしょう。
 水溶性なので水で好きなだけ簡単に希釈できるのもハイドロゾルのメリットです。例えば精油だと希釈はオイルやエタノールで行わなければいけないので10倍、100倍・・・などの希釈はとても難しいのですが、ハイドロゾルは水と混ざるため、10倍、20倍、100倍・・・の希釈が水で簡単にできるのです。
 私は3月に長女を出産しましたが、3歳未満の乳幼児には精油がまだ使えないため、10倍に希釈したハイドロゾルを活用しています。皮膚の赤みにはラベンダーハイドロゾルがとても有効で重宝しています。
 ハイドロゾルセラピーでは、花粉症で鼻や目の粘膜が荒れたときに希釈したカモミールハイドロゾルで洗浄するのですが、お客様に紹介したところ、すごく良かったと感想を頂きました。敏感な粘膜にも使用できるのは、水溶性で作用が穏やかなハイドロゾルならではですね。精油ではこのような使い方はなかなかできません。

 

 ハイドロゾルセラピーでは、ハイドロゾルを外用だけでなく内用でも利用しています。
 水で簡単に希釈できるため飲用にも利用しやすいのです。体調や目的に合わせて、10倍、30倍に薄めたハイドロゾルを飲用します。
例えば腸内環境の改善や強壮の目的ではシナモンハイドロゾルを利用したり、サーカディアンリズムの改善にキャロットシードが利用されたりしています。

 私は、3年前に蒸留所を訪れたとき、できたてのメリッサのハイドロゾルをアップルジュースにいれて飲ませてもらいました。このときはコーヒーにミルクを入れるように嗜好品のような感覚で使用していましたが、ハイドロゾルセラピーでは気分を落ち着けたり、免疫を強化するような目的でメリッサのハイドロゾルを内用で使用すると聞きました。 味はおいしかったですよ。
実際調理やスイーツにハイドロゾルを使用しているケースもあるそうです。
ただ内用できるハイドロゾルは限られていますので、内用で使用したい場合は購入するお店で確認してからにしてくださいね!

 

 最後にハイドロゾルの魅力をもう一つ。
それはハーブがあれば自宅で生産できること! 少し面倒ですがキッチンで使うお鍋やざるを使って作れるのです。
 私のスクールではいろんなハーブからハイドロゾルを抽出する講座を定期的に行っていますが、できたてほやほやのハイドロゾルは香りも鮮度もよく、お顔にも身体にも安心して使えます。関心のある方は是非ご自宅で試してみてください。
方法をお知りになりたい方は協会までご連絡くださいね。

 

 今回は日本ではあまりメジャーではない、ハイドロゾルについてふれてみました。まだ活用したことがない方は、ハーブ・アロマショップで入手できますので、まずは簡単に取り入れられるスキンケアから試してみてはいかがでしょうか。
また機会があればいろんなハイドロゾルを紹介したいと思います。


〔文章〕

山本 真理

緑と香りの学校Tiara主宰。
NPO法人日本ハーブ振興協会PIH

 

国立京都工芸繊維大学工学部卒業。
卒業後企業の研究室に勤務。
父の仕事の関係で、幼い頃から自然(特に植物)に触れる機会が多かったため、植物の中の有効成分を科学的に勉強し始めたのがアロマテラピーを知ったきっかけになる。
その後、フランスの化粧品会社のエステサロンに8年間勤務しマッサージの技術や身体、皮膚のケアの方法を習得し、自然の植物からとれる精油やハーブを取り入れた自然療法との組み合わせを試みる。
現在は、各地でハーブやアロマテラピーのセミナーを開催し、講師活動をしながら福祉施設や 病院でのボランティア活動をとおしてアロ マ・ハーブの普及に努めている。大阪市内 のクリニックではセラピストとして活動。